こんにちは。プレゼンプロデューサー、会社説明専門家の東 大悟(ひがし だいご)です。
先日、私はある社長との「壁打ち」に時間を使っていました。壁打ちというのは、頭の中の考えを人に話しながら整理していく作業のこと。今回はその内容を、記事という形でみなさんにも共有したいと思います。
テーマは「なぜ、同じ求人・同じ時期・同じ会社なのに。。。
インターンの応募数がまったく変わるのか」という問いです。

同じ会社、同じ求人。変えたのは説明会の伝え方だけ
あるケーブル工事会社の話をさせてください。
インターンシップフェアでの応募数が、前回はたったの2名でした。ところが、説明会の中身を変えただけで、次の回では16名にまで増えたのです。実に8倍という結果でした。
求人票は変えていません。ナビサイトも変えていません。エージェントも変えていません。変えたのは「説明会での伝え方」だけです。
この事実に、あなたはどう感じますか。「うちの会社も同じような状況かもしれない」と思った社長も、少なくないでしょう。
多くの企業が、応募が来ないと「媒体が悪い」「時期が悪い」「そもそも学生の質が」と原因を外に探しがちです。しかし本当の原因は、もっと足元にあることが多いのです。
あなたの会社の説明会、こうなっていませんか
私はこれまで12年間、商工会を中心に全国でプレゼンテーション支援を行ってきました。その中で、驚くほど多くの会社説明会に共通するパターンがあります。
まず、会社概要から話し始めてしまうというパターンです。設立年、資本金、従業員数、事業内容。これらは大切な情報ですが、聴き手である学生の心を動かす順番としては最後で構いません。冒頭でこれをやってしまうと、学生の集中力は最初の数分で切れてしまいます。
次に、良いところしか話さないというパターンです。「アットホームな職場です」「風通しが良いです」という言葉を、何度セミナーで耳にしてきたことでしょう。しかし学生の側は、こうした言葉にすでに慣れきっています。むしろ「大変なところも正直に話してくれる会社」の方が、信頼を獲得できるのです。
そして、具体的な伝え方をしていないというパターンです。「まぁまぁ大変ですけど、やりがいはあります」といった曖昧な表現では、学生の頭の中に何のイメージも浮かびません。どんな瞬間に、どんな大変さがあり、それをどう乗り越えているのか。この解像度が低いままでは、心に届かないのです。
最後に、魅せ方の工夫がされていないというパターンです。スライドの見せ方、話す順番、声のトーン。ツールを含めた表現の設計に手をつけていない会社が、実はとても多いのです。
セミナーでこの4つを紹介すると、必ずと言っていいほど「うちも同じことをやっていました」という反応が返ってきます。あなたの会社にも、思い当たる項目はありませんでしたか?
違いはツールではなく、伝え方の設計図にあった
先ほどのケーブル工事会社の事例に戻りましょう。何を変えたのかというと、伝え方の設計図そのものです。
私が東流プレゼン理論と呼んでいる考え方では、プレゼンは構成が50%、話し方が30%、魅せ方・資料が20%という比率で成り立っています。多くの企業が手をつけるのは、デザインや話し方の練習からです。
しかし「何を、誰に、どんな順番で伝えるか」が第一。
構成の設計に向き合わない限り、根本的な変化は起きません。
この設計図さえあれば、社員が話しても、SNSで発信しても、AIを使って文章を作っても、同じように伝わる力を量産していけます。つまり、伝え方の設計図とは一度作れば、あらゆる発信手段に応用できる資産なのです。
ここまで読んで、「じゃあ、その設計図さえ知れば自分たちでもできそうだ」と感じた方もいるかもしれません。ただ、ここに大きな落とし穴があります。
でも、ジョブズでさえ一人では作れなかった
スティーブ・ジョブズのプレゼンといえば、伝説的な完成度で知られていますよね。
しかし、あの見事なプレゼンテーション。。。
ジョブズがたった一人で作り上げたと思っていませんか?
実際には、そうではありませんでした。
Appleの初期投資家であったマイク・マークラは、ジョブズに「共感」と「印象」というマーケティング哲学を叩き込んだと言われています。相手の立場に立って考えること、そして製品や発表がどんな印象を残すかを徹底的に設計すること。この基礎があったからこそ、後のプレゼンが機能したのです。
さらにジョブズは、ソニーの盛田昭夫氏の製品発表スタイルや、ハリウッド映画の三幕構成といったストーリーテリングの型を参考にしていました。導入・展開・結末という物語の構造を、プレゼンに取り込んでいたのです。
そして本番直前まで、社内のエグゼクティブや広告代理店とのフィードバックを何度も繰り返し、1語1句を磨き上げていたことも知られています。
あの完璧に見えるプレゼンは、天才の即興ではありませんでした。
周囲との壁打ちの積み重ねから生まれたものだったのです。
これは、私自身が高校生のビジネスプランコンテストで2度の日本一に導いた経験とも重なります。生徒たちに素晴らしい才能があったのは確かです。しかし、その才能を実践レベルまで洗練させるには、指導者や壁打ち相手の存在が不可欠でした。
つまり、才能や設計図の存在を知っているかどうかよりも、それを磨き上げる相手がいるかどうかで、結果は大きく変わってくるのです。
「わかった」と「できる」の間にある深い溝
ここで、少し立ち止まって考えていただきたいことがあります。
質の高い記事や理論に触れると、私たちはつい「なるほど、わかった」と納得して満足してしまいます。しかし、わかったことと、実際にできることの間には、想像以上に深い溝があるのです。
読んだだけで実践してみたものの、思うような成果が出なかった⋯
そんな経験はありませんか?
このとき本人は「自分なりにやってみた」という感覚を持っているため、成果が出ない原因を「理論そのものが間違っていた」と結論づけてしまうことがあります。
しかし実際には、伝え方の設計図を、聴き手の脳みそに寄り添いながら実践レベルまで磨き上げる工程が抜け落ちていた、というケースがほとんどです。
過去に支援させていただいた企業の中に、こんな社長がいました。「自分ではパワーポイントも作れない、無理だ」と早い段階で気づいてくださった方です。その素直さのおかげで、しっかりと支援に入ることができ、大きな成果につながりました。
一方で、「自分たちでもできそうだ」と感じた会社は、自走していく傾向があります。それ自体は悪いことではありません。ただ、実際に専門家が関わったときの精度と比べると、見えない差が生まれていることも少なくないのです。
本人は「できた」と思っていても、「本当はもっとできたはずだ」という差には、なかなか気づけないものなのですね。
意思決定者である社長自身が気づく必要がある
採用の現場では、実際に説明会を担当するのは人事や採用担当者であることが多いでしょう。しかし、彼らは「言われたことをやって終わり」になりがちで、成果が出なくてもその原因を深く分析する立場にないことがほとんどです。
だからこそ、意思決定者である社長自身が「採用における伝え方の重要性」と「見過ごされている損失」に気づく必要があります。
採用エージェントへの費用も、早期離職による再採用のコストも、多くの会社では「必要経費」として片付けられてしまっています。
しかし、その費用の一部は、伝え方の設計を変えるだけで防げるものかもしれません。数値化・言語化されていないだけで、実は毎年大きな損失が積み重なっている可能性があるのです。
あなたの会社では、この損失をきちんと数字として捉えられているでしょうか。
あなたの会社の説明、一度見直してみませんか
今回の壁打ちを通じて、改めて確信したことがあります。伝え方の設計図を知ることは、大切な第一歩です。しかしそれだけでは、ジョブズのプレゼンのようには磨き上がりません。
設計図の中身をすべてここでお見せすることはしません。なぜなら、この記事を読んで「わかった気になる」ことこそが、実は一番の落とし穴だからです。大切なのは、知識として知ることではなく、あなたの会社の状況に寄り添いながら、実践レベルまで磨き上げていく壁打ちのプロセスにあります。
もし、あなたの会社の説明が、先ほど挙げたNGパターンのどれかに当てはまっているとしたら、それは決して恥ずかしいことではありません。多くの会社が同じ壁にぶつかっています。
大切なのは、そこに気づいた今、次にどう動くかです。あなたの会社の魅力を、もっと学生の心に届けたいと思いませんか。一度、説明会の設計を見直すところから、始めてみましょう。
より詳しくご相談したい方は、公式LINEからお待ちしています。
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少し前の記事ですが、私がプレゼン指導をする際に伝えている「東流プレゼン理論」を説明した記事です。ご覧ください。

https://dramatic-presentation.com/constructed-speech-direction/


