平成28年度より、令和2年度まで中小企業庁肝煎りの中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業であるミラサポの専門家として約6年。
その間、約300事業所の支援に入らせていただきました。南は鹿児島県曽於市から北は北海道釧路市まで。支援内容は販売促進に関わる情報発信。プレゼンの指導からYouTubeの活用方法、チラシ、広告、SNSの活用…幅広く対応いたしました。
※実績概要等はリンクを御覧ください→ 商工会・商工会議所(個別指導・ミラサポ実績)/セミナー実績 詳細
そんな中企庁の制度「ミラサポ」(中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業)の専門家派遣事業が令和3年度より、ミラサポの専門家派遣の内容そのままに、すべてのシステムをWEBからLINEのシステムに移行した専門家派遣「中小企業119」に名前変更となりました。
現在(2021年6月2日)LINEシステムの情報管理問題が今年の3月にニュースになった関係で、一旦、中断しておりましたが、5月26日に動きがあり、そろそろ再開の目処が立ちそうです。
今回はミラサポから生まれ変わった「中小企業119」についてお話します。
目次
中小企業119専門家派遣とは
中小企業119専門家派遣とは、商工会や商工会議所、よろず支援拠点、中小企業団体中央会など、中小企業・小規模事業者の経営支援を行う所が窓口となり、全国各地のその道のプロフェッショナル、専門家を無料で派遣してもらい、経営課題や仕事における悩みを相談・解決してもらえる制度です。
当時、私もミラサポの専門家や商工会のエキスパート、専門家として登録していましたが、私自身も一事業者として、商工会に相談して、ミラサポにて、その道のプロを何度も派遣してもらいました。私の場合は、動画制作の専門家の方やブログ情報発信の専門家の方に来ていただきました。年度内3回、無料で派遣してもらえるんです。しかも!最長の支援時間は、6時間。専門家の先生を独り占めできちゃいます。
通常であれば、経営コンサルティングを専門でやっている方を6時間も拘束して根掘り葉掘り聞けるとしたら、それだけで数十万円ものです。さらに、交通費、宿泊費もかかったら、もうとんでもない額になりますよね。それがすべて無料!
なぜそれができるのか?と問われれば、それは、国から専門家に謝金が支払いされるからです。6時間なんて、ほぼ1日です。ある意味、マンツーマンで指導してもらえるようなもので。本腰を入れて、知識を吸収したい方、経営課題を一刻も早く現状を打破したい方にはもってこいの制度というわけです。
どんな支援をしてもらえる?
経営や仕事に関連する内容であれば、ほぼ何でも支援してもらえます。
面白いところでいうと、Instagramを活用して集客したいから写真の撮影方法を学びたい!という場合でもOK…なはずです(笑)
他にも、いわゆる士業(弁護士、税理士、司法書士、行政書士、社労士)の方々も多く専門家に登録されていますので、法律関係、税務関係、人事関係などの幅広い経営課題の相談にも乗ってもらえるので「使わない手はない」と心の底から私はそう思います。
ちなみに私が今までミラサポの専門家派遣で支援してきた内容を箇条書きであげますと…
・プレゼンテーションの相談(商談会やビジネスコンテスト、登壇PR、補助金面接)
・SNS(Facebook、Instagram、LINE、Twitter)などの活用方法
・YouTubeでの発信方法・活用運用方法の支援
・PR動画の構成についての支援
・キャッチコピー、チラシ広告に関する相談
・ラジオCMコピー、ラジオ番組に関する相談
・ホームページ作成、WEB構築に関する相談
・プレスリリース(テレビ、新聞などに取材依頼する資料)の支援
・展示会集客、名刺獲得率を上げるための相談
・テレビショッピングの構成についての相談
・セミナー用資料(パワーポイント)構成についての相談
・企画書や提案書の書き方の相談
・セールスライティングやランディングページの書き方の相談
・採用、合同説明会での会社紹介の相談
・SEO対策、MEO対策、検索における相談
・接客、コミュニケーションに関する相談
・今あるホームページやBlogのアクセスアップの相談
・GoogleマイビジネスやECショップに関する相談
・ブログの書き方、タイトルの付け方、改善の相談 …etc.
…これらが複合的に混ざり合って支援するケースも多く、例えば、最初はチラシ広告の支援で伺ったものの、最終的にFacebook広告の支援になったりするケースもありました。
このように、まず、何でもいいので、ついつい「お金かかるから専門家に相談できないなぁ」と思って諦めていた悩み事を、一歩前進させる!という時にとても使い勝手の良い制度ですので、ぜひ、ご活用ください。
ミサラポと中小企業119の違い
さきほどから、何度も出てきている「ミラサポ」という制度。こちらは、平成27年に経済産業省中小企業庁がスタートさせた「中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業」という名の専門家派遣事業です。令和3年2月末まで約7年間、運用されていました。
※以前、ミラサポに関する記事を書いています。→青年部は「ミラサポ」を活用せよ!なぜ?メリットを徹底分析!
では、この「ミラサポ」と「中小企業119」。具体的に何が違うのか?…実は、何も変わりません!全国各地の中小企業、小規模事業者であり、お近くに商工会や商工会議所、中小企業団体中央会、よろず支援拠点など、地域プラットフォームと言われる施設がお近くにあれば、ほぼ9割利用が可能です。
利用出来ない残り1割は、どういうことかというと…例えば、事業体が大きすぎる場合。また大企業の子会社の場合も利用ができません。後は、お近くにプラットフォームがない。全国の地域プラットフォームの中には「中小企業119」は、受付しませんという所も稀にあります。
または、場所にもよりますが、商工会や商工会議所などはNPOや一般社団法人等の受付ができない所があるため、よろず支援拠点でなければ窓口になってもらえないケースもあります。
では、なぜ、名称を変えたのか?という事なのですが、内側のシステムが大きく変わったからなのです。
一言でいうと、今までWEBで管理していたものをすべて、LINEのシステムで管理するというもの。
だから、冒頭に出てきたLINEの情報管理体制がニュースになってしまったため、調査のため、現在、運用がストップされてしまったのです。
また、ミラサポでは、利用者がWEB上で、専門家を検索して探すことが出来たのですが、LINEシステムに移行してからは、利用者が専門家を検索することは出来なくなり、専門家検索が出来るのは、支援機関(商工会などの地域プラットフォーム)だけになりました。
LINEシステムに移行になったもう一つの理由としてあげられるのが、チェックイン・チェックアウト機能。スマホアプリ特有のGPS機能で管理されており、架空相談や支援時間の不正などを防ぐためにチェックイン、チェックアウト機能を導入したのではないかと思われます。
利用にあたっての注意事項
今までどんな経営課題でも相談できます!と説明してきましたが、最大の注意点があります。
それは…支援の中で「成果物」は作ることが出来ないということ。
例えば、私でいうと、プレゼンテーションの相談で言えば、現状あるPowerPoint資料の指摘は出来ますが、「私が」手を動かしてパワポ資料を作って提供することは出来ないということです。
よく聞くのが、社労士の方に専門家として来てもらって「就業規則」を作ってもらうというのはNG。就業規則の作り方を教えてもらうのはOKです。
わかりやすく言うと、大工さんに、リフォームの相談は無料でしてもらえるけど、実際にリフォームにかかるお金は、大工さんにちゃんと支払いなさいということですね(笑)
ちなみにココだけの話…冒頭の部分で「謝金は国から支払われます」と書きましたが、通常のコンサルティング費用相場からすると、10分の1の謝金です。
…と書くと、利用しにくいなぁと思う方もいると思いますし、逆に、そんなにお得な支援制度、使わないと損!と考える方もいらっしゃると思います!
よく有料のコンサルティングや運用代行と同等の支援が受けられる!という風な書き方をされる記事をお見受けしますが、語弊があります。コンサルティングののち、何かをコンサルの方が代行してしまったら、それは「成果物」ですから。利用される方も、そのように発信する専門家の皆様も十分お気をつけください。
また、社員研修であったり、セミナーなどもNGです。ミラサポの時も、セミナーは出来るのだろうか?という依頼が、支援機関の方から何度かありましたが「出来ません」とお断りしました。ご注意ください。
しかしながら、いずれにせよ「専門家を呼んで相談できる」という費用負担が「ゼロ」という点では、とてつもなくありがたい制度であることは間違いありません。
利用までの流れ
1.最寄りの支援機関へ
支援機関というは、先程から地域プラットフォームとして、ご紹介している商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、産業支援センター、金融機関等のことです。まずは、そちらにご相談に行っていただくことがスタートとなります。どこに行けばいいの?という方は、こちらのサイトから検索できます→ https://chusho119.go.jp/index
初めてこのような支援機関を利用する、専門家派遣を利用するという方は、まず電話をして、アポイント取られてから伺うことをオススメします。安心してください。「まず、入会しろ!」という職員さんはいらっしゃらないと思いますし、基本、入会等せずとも利用できる制度ですので…たぶん(笑)
もうすでに支援機関に属されている方は、電話1本で話が通じるかと思います。
2.相談内容を確認されます。
中には、その支援機関でお抱えの専門家がいれば、中小企業119の制度を利用せずに、その専門家をすぐ案内してくださいます。
ただ、そうなると入会が条件であったりとか、その団体に所属する必要などが出てくると思うので、入会等されない方は、そのまま119の制度を利用できるかと思います。
3.専門家の選定(支援機関)
支援機関内、指導員では解決できないという風に判断された相談内容は、支援機関側が専門家データベースから検索して、専門家に対して依頼がなされます。
4.支援日時の決定
専門家が決定したら、支援機関が窓口となり、利用者(事業者様)と専門家の日程・日時調整を行います。
5.支援
決定した派遣日時に、専門家が支援機関の職員の方と、事業所にお伺いします。LINEシステムによるチェックインの作業の後、支援開始です。目的である経営課題の相談が終了したら、今度は、チェックアウトの作業をして終了です。
6.報告
専門家、利用者(事業社様)からそれぞれに支援機関への報告がなされて、すべてが終了となります。
利用する回数についてですが、同じ事業者様で、継続の支援が必要な場合、前段で年度内3回という風にお伝えしましたが、「IT を活用した経営力強化」という課題項目で支援を行う場合に限り、年度内5回、支援が受けれます。
これらの流れや最新情報などは、中小企業119のサイトに詳しく掲載されていますので、御覧ください。
中小企業119は、いつから再開される?
2021年3月にLINEの情報管理問題がニュースになる前…このシステムについて事務局側に質問を「お問い合わせ」に投げかけたのです。
…というのも、私は数年前、LINE@から公式アカウントに移行する時、顧客情報をすべて消された大事件(その後の対応もひどいもので…)にあって以来、LINE自体を信用しておらず、そこに個人情報やGPS(チェックイン、チェックアウト機能)など…専門家のほとんどの個人情報を登録する事に、本当に問題はないのですか?という質問をしました。結局、その回答は、いただけず…。そして、このニュースが数週間後、でてきたのです。
別に情報が流出したということではなく、海外でアクセスできる環境下にデータが置かれていたということだったので、大事にはいたらなかったのですが…
経済産業省中小企業庁の肝煎りの事業に使用しているシステムなだけに…「はい、良かったね」というわけには行かず、細かい調査を依頼。
結果、LINEから万全な回答がいただけなかったという点で政府は、5月頭に政府系、自治体では、「個人情報や機密情報の取り扱いはLINEシステム化では行わない」と発表することに。
このニュースで、もしかしたら…中小企業庁119自体が閉鎖になるのではないか…と危惧しておりました。しかし、閉鎖となると、作ったシステム制作費はおじゃん。一度閉鎖ミラサポの専門家WEBシステムをもう一回引っ張り出さないといけない…お金と労力と時間がまたかかってしまうのかなぁと思っておりましたが…5月26日に動きがあり、ホッとした次第です。
ですので、LINEシステム問題ニュースが3月、LINEシステム使用の政府の公式見解が5月頭、5月26日に専門家登録再始動…という流れから考えて…
私の感覚的には、支援の受付開始は…6月中旬…遅くとも7月1日には、スタートでしょうか。また最新情報が入れば、SNS等でお伝えします。
※6月3日速報※
専門家派遣申請スタートは6月7日。派遣は最速で6月10日だそうです。
詳しくは中小企業119の「お知らせ」を御覧ください。https://chusho119.go.jp/
まとめ
新型コロナウイルスの影響で、今、多くの小規模事業者の方が、踏ん張っているところだと思います。私も昨年の4,5月は緊急事態宣言で、対面でのコンサルティングやセミナーがことごとくなくなり、どん底になりました。
あれから、1年経ちました。まだ、コロナ禍の脅威は続いています。しかしながら、ネット活用によって、道が拓けた事業所さんもたくさんあります。新しく取り組んだことで、新しい販路が出来たり、新しい事業展開ができている事業所さんもたくさんあります。
なんとかしたい。でも、どうしたらいいんだろう?とにかく、前に進みたい!情報発信したい!という方は、ぜひ、最寄りの支援機関を訪ねて頂き、専門家派遣を利用してみてください。
もし、適当な支援制度が見つからない時や、あなたの課題を解決してくれる支援機関専属の専門家がいなかった時は、「中小企業119」を利用してみてください。全国の様々なノウハウをもった専門家たちがあなたの課題を解決する糸口を見つけてくれるはずです。
すでにLINEシステムも構築されているため、このタイミングで「中小企業119」閉鎖ということは無さそうです。とりあえず、良かった…。ただ、個人情報の問題の件は、しっかりと調査済みの上で、スタートして頂きたいと個人的に思っています。
ということで、今回は「中小企業119」についてのブログでした!お読み頂き、ありがとうごうざいました!
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2021年4月より『月刊商工会』という月に5万部発刊されている月刊誌の1ページにて『売り上げにつながる伝え方の極意』をご紹介しております。
その他、全国各地で新しい取り組みや商品開発をされている商工会エリアの小規模事業者の方々のお話もたくさん掲載されていますので、経営のヒントも手に入るし、勇気も湧きますし、とてもためになる雑誌です。
ぜひ定期購読をオススメします!
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商工会って、商工会議所の略称じゃないの?と思っている方はコチラの記事を御覧ください。
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